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オーヴェルニューのガブリエル プロローグ

Coco_canel_1937_cecil_beaton1911年、キュリー夫人は2度目のノーベル賞を受賞し、中国清朝が崩壊。音楽家ストラヴィンスキー、ディアギレフ、ニジンスキーらが活躍したバレエ・リュスの華やかな時代の開幕に、シャンパーニュ暴動。それでも20世紀のヴィンテージにはボランジェ1911があります。

その翌年の1912年はというと、日本は大正元年。フランスではトーキー映画が上映され、エメラルド・グリーンの葉の絡みあうなかに、女性像のメダイヨンがはめこまれたルネ・ラリックの香水瓶「シダ」という名品が誕生。

Mademoiselle_coco_chanel1923この年、競馬場のあるおしゃれな町で、カリスマ的魅力をもつ社交界の花形カペルと出会い、パトロンに成功した女性がいます。彼女は、もっとも貧しかった少女時代までの過去を恥じ、富を得ることが人生最高の幸せと信じ、見事その生涯を華やかにリッツホテルで終えました。その人こそココ・シャネル。

従業員には忠誠を、恋人には愛情を、友人には関心を求め、支配然としたシャネル。

シャネル―スタイルと人生絵のなかのシャネルは、友人でもあるマリー・ローランサンが描いたもの。ですが支払いを拒否したほど、この絵が気に入らなかったらしいのです。ココ自身がもっとも愛したシャネルを描いていないからなのでしょう。

自分と他人のギャップ。彼女ほどに、「自分自身が愛している自分」を、相手にも同じ価値観で愛してもらうことを要求する人間はほかにいないでしょうね。

「私はオーヴェルニュでまだ火が消えていない唯一の活火山よ。」
70歳のシャネルの言葉のとおりに、最後まで情熱をもって自立した女性。彼女がブルジョワジーを相手に開いた「CHANEL」は、密かな野心から始まるのでした。


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mama-witch

fu-さん、コメントありがとう。いつもながら素敵なブログ。楽しませてもらいついでにプリントアウトさせていただきます。昨年の秋、若い友人たちと、箱根のラリック美術館に行ってきました。紅葉のアプローチを抜けて、アール・デコの世界に入っていったとき、美しいものたちに囲まれる幸せを感じました。帰りに寄った富士屋ホテルで、昔ながらの、ごくシンプルな銀の器に盛られたチョコレート・サンデーの愛らしさも忘れられません。梅雨時、煙雨の箱根にまた行きたいと思いつつ・・・書類作りに取っ組んでいます(笑)。以下は、挑戦日記2のコメントへの返礼。配達に来ました。来て良かった!

★ fu-さん、貴重なアドヴァイスをたくさん、ありがとう。とても参考になりました。今の私にとっては、ちょっとした弱気や臆病、思い込み、傲慢さ、不信感、自信過剰、自惚れ・・・といった、私自身の内面的弱さとの戦いです。ちっぽけな過去の体験など、何の役にも立たないのだということを肝に銘じ、謙虚に、素直に、そして元気に、巨きな風車に向かっていきます。あきらめさえしなければ、きっといつか、夢は叶う、という言葉を信じて。でも、お願い、ときどき応援してね。暖かい応援コメントは、本当に心がほっとするから(笑)。 
by mama-witch (2006-07-24 05:20)
by mama-witch (2006-07-24 05:43) 

魚月見砂

ローランサンが描いたシャネルは、どこか寂しげで、やさしさのある
「弱い」ところが、シャネルにはお気に召さなかったのかもしれませんね。
by 魚月見砂 (2006-07-24 12:16) 

こんにちは。お久しぶりです。
シャネルの伝記は2冊ほど読んだ記憶がありますが、強さと弱さの対比が印象的な女性と思います。強さ故に弱さが一層みえてしまうというか…。
彼女も「孤独」だったのですね。
by (2006-07-24 14:39) 

mama-witch

お忙しそうですね(私も、だけど・笑)。
 今日はちょっとお知らせがあって伺いました。
 実は私の一番年若い友人・sasuke・15歳に、あなたのブログを読むように、と紹介しました。彼女は愛媛県松山在住のまだ高校一年生ですが、まだ14歳の中学3年生のとき、2005年の6月25日から、一日も欠かさず絵を描き続けています。その腕もさることながら、高校受験にもめげず、本当に只の一日も欠かさず描き続けているその本気に、私の方が惚れたのです。
 昔、広告代理店時代、かなりの数のイラストレーターたちと付き合ってきたので、彼女のまだ15歳ながら侮れぬ個性と、生まれついてのセンスに、少なからぬ可能性を感じています。私はかつて漫画の原作もやっていたので、漫画家としての素質もなかなかのもの、と勝手に見込んでもいるのです。
 今すぐにでも通用する腕はある、と思いますが、促成栽培的に出版社に紹介したりするより、青春時代をちゃんと過ごし、経験するべきことを経験しておくほうが、彼女の未来にとっては大切と、ゆっくり成長の手助けをすることにしました。
 でも、私はもうかなりのトシなので(笑)、彼女の成長にどこまで付き合えるかちょっと不安(爆)。だから彼女の成長を助けてくださるだろう若いあなたに、協力をお願いする次第です。
 彼女はもう、あなたのブログを訪問しています。そして、とても感動しているようです。わずか15歳で、あなたのブログに刺激を受ける、それだけでも私は嬉しい。今後、彼女はあなたのブログから沢山のことを学ぶと思います。
 と、いうわけで、年若い友人をよろしく。下記に彼女のURLを紹介しておきます。(彼女は以前、so-net に居たのですが、例の大メンテナンス事件に懲りて、今はココログのほうに移ったので、そちらのURLを紹介します。)
http://jumpingjack-192.way-nifty.com/blog/
 突然の長メール、大変失礼しました。では、また。
by mama-witch (2006-08-24 05:24) 

fu-

mama-witch さん
>貴重なアドヴァイス
とんでもない。たぶんご存知のことと思いますが、NPO設立の定款やスケジュールの組み立てのお手伝いをしたことがあり、たまたまその当時を思い出しました。

>漫画の原作
パブリシティから漫画原作までもキャリアがあるんですね!
どんな漫画か知りたいですよ。

>一番年若い友人・sasuke・15歳
伺ってみますね。
コメントを拝見しつつ、私の15歳は、そういった絵や文書、あるいはスポーツなど、勉強以外の目標がなかったなぁ。

追伸:ブログの力は大きいですね。きっと。
by fu- (2006-08-24 20:49) 

fu-

pinさん。
>どこか寂しげで、やさしさのある「弱い」ところ
たしかにそうですね。シャネルは自分が強く、自信があり、魅力を充分にかんじていたのでしょうね。他人が感じるものとのギャップに、怒りを感じたのかも。

pinさんさんの記事の最後にあった、自分の好きな香りと他人が感じるものに違いがあるという一文を思い出しましたよ。

なにごとも、自分と他人では、感じることにギャップはつきものなのですね。
by fu- (2006-08-24 20:54) 

fu-

gonさん。
>強さと弱さの対比が印象的な女性
彼女の欲望と勝利は、果てしなく・・・。
その果てしなさに、強さも弱さが生まれてくるのですね。

女性として魅力を誇ったシャネルは、実は子供の産めない身体だったらしいのですね。その対比が、gonさんの記された「強さと弱さの対比が印象的な女性」を感じました。
by fu- (2006-08-24 20:59) 

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