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不思議な眠りの花 [花物語]

ギリシア神話から 
柘榴の実を口にしたため、恵みの女神デメテルの娘ペルセポネは、冥界の王ハデスにさらわれます。女神デメテルは眠りを忘れるほど、ベルセポネの行方を追いつづけました。あるとき、冥界を思わせるような眠りの神ピュプノスの宮殿を訪れます。それは、太陽神が一度も訪れたこともない、雲と霧に覆われ、冥界のレーテ川の水音だけが聞こえ、不思議な色で香りがない花が、一面に咲き乱れていました。眠りの神のヒュプノスは、「あなたは眠らなければ、植物達は次期に枯れていくでしょう。」と云って、小さくて不思議な花の実を渡します。それが芥子の花の実。眠りの神ピュプノスは芥子の花を摘み、液を集めては、地上に夜が来ると、これを一面に撒き散らすのです。鳥も獣も人間も全ての生き物を眠らせる・・・。眠りの神ピュプノスは、どれも同じ姿をした夢を廻り漂わせ、眠りについた人間に夢を与えているのでした。この芥子の花言葉は忘却といわれています。

この青い芥子は、Dennis Magnussonの花の画で"Blue Himalayan Poppy"です。つまりヒマラヤの青いケシなのです。世界の名花といわれる所以は、天空に咲く奇跡の花だからなのです。世界最高峰の山々が連なったヒマラヤ山脈やそれに続く、中国 雲南省、四川省、東部チベット、ミヤンマーに咲き誇る眠りの神ピュプノスの宮殿。3000m~5000mの高地にしか咲かない幻の名花とも云われ、神秘的な美しさで見る人を魅了する不思議な花です。

The Routledge Handbook of Greek Mythology
Based on H.J. Rose's Handbook of Greek Mythology

The Routledge Handbook of Greek Mythology:Based on H.J. Rose's Handbook of Greek Mythology作者: Robin Hard
出版社/メーカー: Routledge
メディア: ハードカバー
和書 ギリシャ神話集


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TAKAYA

エジプトの青い蓮に、ヒマラヤの青い芥子。そして遺伝子組み換えのサントリーの青いバラと、「伝説の青・青・青」ですが、このヒマラヤの青い芥子は、ケシ科 メコノプシス属 学名:Papa veraceae Meconopsisとありました。ラテン語meconopsis betonioifoliaの「mecon(ケシの意)」と「opsis(似るの意)」らしく、つまり阿片は採取できないということを、命名したのでしょうか。(笑)眠りの神ピュプノスの神殿には、この青い芥子は咲いていないのでしょう。神は、阿片の力で、眠りと夢を支配したんですよ。ちなみに、僕のBLOGのIDは、ブルームーンです。http://blog.oricon.co.jp/soratukihosi/
by TAKAYA (2006-03-27 11:53) 

fu-

toTAKAYA
満月を二度見ることがある。ブルームーンという薔薇もありますね。本当に、TAKAYAさんの月は青い輪郭が美しい~。この青は、神秘なのですね。眠りの神ピュプノスの神殿には、赤い芥子が咲き誇っているのでしょう。青い芥子は、眠りの神ピュプノスの枕元に。眠ってしまわないように。(笑)
by fu- (2006-04-16 21:49) 

mama-witch

 ヒマラヤの青い芥子。一度は本物を見てみたい、と願っているもののひとつです。この写真を見た娘が、北海道で青い芥子が見つかったというニュースがあるよ、と教えてくれました。私は見てないので残念!
 人気写真ブログのsilvermac さんが訪れた松江の博物館の写真には、ほんのチラリと載っていましたけど。何しろ本物が見たいな。
by mama-witch (2006-06-20 10:12) 

fu-

mama-witchさんがみたいという「ヒマラヤの青い芥子」が、北海道で見つかったといお話で、札幌の百合が原公園と滝野公園にあるようです。silvermac さんは島根県松江の博物館の写真ということですが、松江フォーゲルパークのことなのかしら。ここには、珍しい花と鳥がいるらしいですよ。青い芥子は、北海道以外では、なかなか栽培が難しいようですが、阿片は採取できないので、個人でも栽培できるといいます。育て方が我が子以上に手をかける花。札幌でお仕事があるといいですね。ただ季節は5月の頃に限られますが。

みたいみたいという花は、じつは私もひとつあります。根尾谷淡墨桜です。これまで、花というものは、風景の一部に過ぎなかったのですが、「その花が見たい」と思うようになりました。年齢とともに、すこし「情緒」が育ったのだなぁと思うこのごろです。
by fu- (2006-07-03 14:48) 

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