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万緑叢中紅一点 [四字熟語]

私のSNSサイトのイベントテーマで、交流のあるオーナーを、四字熟語に譬えるということがありました。そのなかでT氏より頂いたのが万緑一紅です。中国宋代の詩人王安石が詠む「石榴詩」の「万緑叢中紅一点」です。

「緑叢中紅一点 人を動かすに春色多くを用いず」

万緑は一面の緑、叢中は草むらの紅色の一輪の花は 旧約聖書にもその名を知る 柘榴 。一つだけ異彩を放つものは、しだいに、男の性の中に、一人異なる性をもつ女性を指し示すようになりました。ざくろは、英名をPomegranatといいます。円熟した優美・円熟の美は柘榴の花詞ですが、柘榴の実の花詞は愚鈍。ギリシア物語では、シデーという娘が、母なき後に、父から情交をせまられ、わが身をおぞましく想い悲しみ、死を選びます。神は、彼女の魂をザクロに宿らせ、父親を鳶に変えたといいます。

キリスト教美術では、エデンの園の生命の木として描かれている柘榴は、、仏教では「右手に柘榴を持つ鬼子母神像は、釈迦が訶梨帝母に柘榴を与え、人の子のかわりにその実を食べよ」と戒めたという説話が日本に伝わり、人肉の味がするとして、昔から好まれなかったといいます。

タロットカードでは、柘榴の象徴の暗示をしることができます。

         Ⅲ THE EMPRESS


柘榴の実のガウンをまとった女性。彼女は、月桂樹でかこい、十二個の星がちりばめられた金色の冠をかぶり、真珠のネックレスを首につけ、右手で先の丸い金色の笏を掲げています。その衣装は、女性性器を暗示する柘榴の実の模様。彼女が手にしている笏は、本能的な欲求・本能そのもの。また、赤い玉座は、純粋な本能を意味し、実り多き野外にあるため自然界そのものををも意味します。 柘榴の実は生々しく人を魅了する果実。タロットでは、満ちたりた状態、完成、自然、美しい環境、穏やかな心、人妻、繁栄の意がありますが、リバースすると、不和、プライド、贅沢、気まぐれとなり、全てルーズになりがちとなるのではないでしょうか。このカードが象徴する知性のほかに、収穫、芸術、夜、闇を秘め、その闇とはリバースではなく、性だと感じます。なぜか女帝が手にしている笏は、柘榴の蕾みのようにみえるのですよ。


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wanko

1830年代のフランスで生まれて欧米に広まった運動のフェミニズムですが、社会的、政治的、経済的な理由によって不平等に構築されているのではないか、という問題が、現代にあるようです。fu-さんが、以前別のサイトで、「フランスの恋愛」において女性優位であったとありますね。結婚をしている女性が複数の愛人、恋人を持ったということですが、これは上流階級ですもんね。タロットのTHE EMPRESS-女王ですが、手にしている笏は、階級や権威の象徴も含まれている気がします。奴隷制度のもとで縛られる女性達との、暮らし・習慣・教育・教養・性などの「生」への弾圧があるなしは、ブルジョワと労働階級では、相当な違いがあったのではないでしょうか。http://blog.oricon.co.jp/billiards/
by wanko (2006-03-27 10:10) 

fu-

to wankoさん
階級の差は確かにありました、フランスの恋愛についておっしゃるとおりに、ポンパドール婦人は、夫がありながら国王の愛人です。つまり、あの時代はステータスシンボルなんですね。いまでも階級がありますよね。ただ日本人が暮らし・習慣・教育・教養・性などに対し、一般化した価値観を常識化しただけで、プライベート教育も、あるレベルの家庭では施されています。つまり、、プライベート教育という言葉がなんぞやという人の層が主流になり、その主流が常識と思われているんですよね。
by fu- (2006-04-16 21:57) 

mama-witch

 生命を産み出す女性と、生まれてきたわが子を育むために殺す(狩猟する)男性と。結婚というのは「生と死の結合」ですね。よほどの努力を以て、相手を理解する努力をしなければ、もともとが相反する宿命を背負った者同士の結合ですから、うまくいくはずがない・・・(笑)。
 階級は、富を得た人々が、既得権益を守るために生み出した社会構造のひとつ。とはいえ、一国の文化や美を育むには、貧富の差が不可欠。日本も近年、到底埋めようもないほどの貧富の差が生まれつつあって、遠い未来からこの時代を振り返ったとき、ここからいったいどんな美が生まれ、育っているのか、知りたいものです。もう何もすることがないほどの富裕層が、退屈しのぎに求める美に応えるため、どれほどの職人やアーティストが育つのでしょう。
 歴史を振り返れば、そうして生み出された美は、いつか大衆のものとなり、ごく普通の人々の生活を潤す美術品や芸術品として還元されるのですから、これはこれで自然の摂理、というところでしょうか。人生はジョーク、歴史はコント、ですね(笑)。
by mama-witch (2006-06-20 09:38) 

fu-

mama-witchさんのコメントに「結婚とは生と死の結合」とあります。いつも死が隣にいるのですね。「死」というかたちを変えて、肉体の死だけではなく、精神や魂の死。そういう古の時代から現在の社会に至るまで、神話や伝説、歴史に名を残す実在の人物たちから無名である大衆の一人一人が、美意識を持ち続けたことが、文化や暮らしに反映されているのでしょうね。頂戴したコメントに、『ごく普通の人々の生活を潤す美術品や芸術品として還元される』とありますとおり、パトロンの要望にこたえ、芸術美は芸術家が生み出し、それを名作やロングセラーとするのは大衆であったのですね。富裕階級の特権を、いつしか大衆が身につける。コメントのお言葉をお借りして、まさにこの世は『人生はジョーク、歴史はコント』でした。
by fu- (2006-07-03 14:14) 

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